偶然、さしたる意味もなく、WikiPediaのキングストン弁を読んでびっくり。
一部には、軍艦などが自沈するための専用弁として知られているが、こうした誤解はキングストン弁からの浸水により沈没した、というニュースを取り違えたところから生まれたものと考えられる。
おお、そうなのか!
ずっと自沈用の弁だと思っていました。まあ、ミリタリーマニアでもないので、ずっと昔どこかで読んだことを覚えていただけなのでしょう。
いずれにしても、小学生時代の話なので、間違っていたも「そうか」としか思いません。
しかし、1つだけ気になることがあります。
「キングストン弁=自沈用の弁」という誤解を、「丸」関係の書籍で読んだような気がしたのです。
もしそうなら困るな……と思って自分にとっての誤解の原点を探してみました。
日本軍艦写真総集 1970年1月19日第1刷 月刊雑誌「丸」編集部編 §
父の遺品であるこれを出してきて、巻末の各艦の履歴をチェック。軽巡以上の大型艦を調べましたが、沈没理由にキングストン弁は見あたらす。まあ、要約に過ぎないので、詳細は書いていないだけなのでしょう。
もっと詳細を求めて別の本へ。
丸Graphic Quartery 写真集日本の戦艦 1970年11月15日発行 月刊雑誌「丸」編集部編 §
そしてついにキングストン弁を含む記述を発見。
p84 洋上決戦・比叡の最後 伊達久より
午後四時、乗員はつぎつぎにボートに乗り移り、万一を思ってキングストン弁をひらいて駆逐艦に収容された。
この記述を読んで、「えっ」と思いました。
おそらく、キングストン弁=自沈用の弁と思って読んでいると読み流してしまう記述でしょう。
しかし、よく読めば、キングストン弁を開いた理由は「万一を思って」であって、それによって確実に沈むと思って開いたものでは無さそうです。実際、比叡は魚雷によって沈められているわけですから、自沈する弁ではないのでしょう。
もしかしたら、開いておけば自沈が早まるかもしれない……という程度のものかもしれません。
いずれにしても、以上の確認範囲内で言えば、子供の頃に見た丸関係の書籍に誤った説明は無かったと言えます。
残された謎 §
キングストン弁=自沈用の弁という説の出所はその方面の専門家に任せるとして、気になるのは私がこの誤解を学んだのは何かという点です。
いかなる書籍のいかなる記述が私を誤らせたのか。それが気になります。
少なくとも私の小学生時代に見た本だろう……とは思いますが、それだけでも相当な数になりますので。(「連合艦隊ついに勝つ」まで読んでいたし。全ては亡き父が買ってきたものです)